COLUMNコラム

制御弁式とベント式の違い
――補水の要否と劣化診断の分かれ目

据置鉛蓄電池のセルと栓

据置鉛蓄電池の制御弁式(VRLA)は、補水・比重測定・均等充電が不要で日常保守が軽い一方、中の状態が読めないため劣化診断は内部抵抗のトレンド管理が主軸になります。ベント式(液式)は液面確認・補水・比重測定が要りますが、電解液比重と外観から状態を直接読めます。更新では既設と同じ方式・同じ型式でそろえるのが原則です。

こんにちは、セントレイの佐藤です!このコラムでは、産業用蓄電池まわりの「現場で役に立つ話」をお届けしています。

据置鉛蓄電池は、大きく制御弁式(VRLA)とベント式(液式)に分かれます。この方式の違いが、日常保守の重さだけでなく、劣化診断の手法や寿命末期の壊れ方、さらには設置のしやすさまで決めてしまいます!両者の分かれ目を、保守・診断・更新計画の観点から掘り下げます。

制御弁式(VRLA)とはどんな方式か

制御弁式は補水・比重測定・均等充電がいずれも不要で、日常保守が軽い方式です。セントレイの取扱でいえばMSE形・FVL形・HSE形・REH形などがこれにあたります。仕組みとしては、充電中に正極で発生した酸素を負極で吸収して水に戻す「酸素サイクル」により、電解液の減りを抑えています。ここで注意したいのが、制御弁式は完全な密閉式ではないという点です。内圧が上がった際は制御弁でガスを逃がす構造で、密閉に近いだけです。この構造ゆえに、外観や比重から中の状態が読めないという裏の性質を持ちます。そのため制御弁式の劣化診断は、内部抵抗を定期的に測り、初期値からの上がり方をトレンドで追うのが主軸になります。一方で電解液がこぼれにくく、設置の自由度が高いのも利点で、盤内への収納がしやすい方式です。

ベント式(液式)とはどんな方式か

ベント式は、充電中の水の電気分解で電解液が減るため、液面確認と補水、比重測定が要ります。セントレイの取扱ではHS形・CS形などです。手間はかかりますが、電解液比重と外観から劣化の状態を直接読めるという利点があります。ベント式では内部抵抗の変化が小さく劣化診断に向かないため、判定は電圧・比重・外観・容量試験で行います。補水の間隔を延ばす手段として触媒栓もありますが、これも定期交換が要る部品で「付ければ終わり」ではありません。浮動充電電圧も制御弁式の2.23V/セルに対しHS形は2.18V/セルと系統が異なり、点検値の基準そのものが変わります。手間と引き換えに状態を直接読めるのがベント式で、HS形のような高率放電特性やCS形のような長寿命特性も、この方式を土台に設計されています。

更新計画では方式の違いはどう効くのか

更新計画では、方式ごとの寿命末期の壊れ方の違いが効きます。制御弁式は酸素吸収反応を促すため電解液量を制限しており、寿命末期の容量低下が急激です。バックアップ時間が保てなくなってから気づいたのでは予防保全として遅く、内部抵抗のトレンドで先手を打つ計画的更新が要ります。ベント式は状態が見える分、劣化の進行を追いやすいものの、そのぶん日常の保守体制が前提になります。ここで押さえておきたいのは、方式そのものは電池の設計で決まっているという点です。方式は工事会社の側で自由に選び替えるものではなく、更新では既設と同じ方式・同じ型式でそろえるのが原則になります。制御弁式とベント式では浮動充電電圧が違い(制御弁式2.23V/セルに対しHS形は2.18V/セル)、外形寸法や端子も異なるため、方式が変われば充電器の設定や収納が合わなくなるからです。だからこそ現場で効くのは、まず既設がどちらの方式かを正しく見分けることです。方式が分かれば、点検の項目と頻度、劣化診断の手法、更新時の段取りまでが芋づる式に定まります。銘板の型式と数量が分かれば、方式の判別から保守負荷の見立て、適合する更新品と納期の目安まで含めてセントレイがお見積りします。

それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!
──株式会社セントレイ 佐藤

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