COLUMNコラム

MSE・HS・FVL 形式名の違い
――方式・用途・期待寿命で読み解く

作業場で仕様を確認する作業員(形式名の読み解き)

MSE・HS・FVLは据置鉛蓄電池の代表的な形式名で、方式・想定用途・期待寿命の目安までを示す略号です。MSEは制御弁式の標準機で期待寿命の目安は7〜9年、HSはベント式の高率放電機で5〜7年、FVLは古河電池の長寿命MSE形で13〜15年(いずれも25℃・古河電池公式サイトの種類一覧より)。いちばんの分かれ目は、補水が要るかどうかです。

こんにちは、セントレイの佐藤です!このコラムでは、産業用蓄電池まわりの「現場で役に立つ話」をお届けしています。

図面や銘板に並ぶMSE・HS・FVLといった形式名は、その電池の方式(制御弁式かベント式か)・想定用途・期待寿命の目安までを一括で教えてくれる、なかなかの働き者の略号です!更新や手配で先方とやり取りするとき、この3つを方式軸で押さえておくと、容量・端子まで含めた話が一段速く進みます。代表的な3形式を整理します。

MSE形はどんな電池?

MSEは制御弁式(VRLA)の据置鉛蓄電池で、非常電源・UPS・通信・受変電の遮断器操作用電源など、据置用途の標準機です。制御弁式は補水・比重測定・均等充電がいずれも不要で、寿命まで保守の手が少なく済みます。浮動充電電圧は2.23V/セル(取扱説明書記載値)。総電圧はこの2.23Vに直列セル数を掛けた値になります。期待寿命の目安は25℃で7〜9年です(古河電池公式サイトの種類一覧より。0.1C10A評価・期待値であって保証値ではありません)。日常保守を軽く保ちたい据置設備で、まず候補に挙がる方式です。

HS形はどんな電池?

HSはベント式(液式)で、瞬間の大電流を取り出す高率放電に強い形式です。UPSや自家発のエンジン始動など、短時間に大きな電流を要する用途で使われます。ベント式は充電中の水の電気分解で電解液が減るため、液面確認と補水、比重測定が要ります。浮動充電電圧は2.18V/セルで、制御弁式の2.23V/セルとは別系統です。期待寿命の目安は25℃で5〜7年です(こちらも古河電池公式サイトの種類一覧に記載の目安です)。なお、同じ高率放電の用途でも保守を軽くしたい場合には、制御弁式で高率放電に対応したHSE形という選択肢もあります。浮動充電電圧は制御弁式と同じ2.23V/セルで、補水の手間を抑えつつ始動用途に応えられます。

FVL形はどんな電池?

FVLは古河電池の長寿命MSE形で、標準形のMSEと同じ据置用途を長い更新周期でまかなえる形式です。浮動充電電圧はMSEと同じ2.23V/セル、評価条件も0.1C10Aで、期待寿命の目安は25℃で13〜15年に延びます(古河電池公式サイトの種類一覧より)。FVL形はMSEと同容量・同寸法で設計されているため、既設の収納箱・架台をそのまま流用できるケースが多く、更新工事の負担を抑えられます。なお長寿命MSE形は各社にあり、古河のFVL形のほか、GSユアサのSNS形、エナジーウィズのMSJ形が同じ13〜15年帯に位置します。更新の周期を延ばして保守回数そのものを減らしたい設備で選ばれます。

3形式のいちばんの分かれ目はどこ?

3形式を横に並べると、いちばん効く分かれ目は制御弁式かベント式か、すなわち補水が要るかどうかです。制御弁式のMSE・FVLは補水・比重測定・均等充電が不要で保守が軽く、ベント式のHSは高率放電特性と引き換えに補水などの日常保守が要ります。形式名の頭で方式が読めれば、補水の要否・点検項目・保守の頻度まで見当がつき、更新のときに「どのくらい手がかかる設備か」を先に把握できます。銘板の型式と数量が分かれば、方式・用途の整理から適合する更新品、納期の目安まで含めてセントレイがお見積りします。

それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!
──株式会社セントレイ 佐藤

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