COLUMNコラム

据置鉛蓄電池の置き場所と温度
――暑さが寿命を縮める理由

屋外に設置された変電設備(キュービクル)

据置鉛蓄電池は、周囲温度が10℃上がると寿命がおよそ半分になります(10℃2倍則)。期待寿命の公表値は周囲温度25℃での値のため、盤内の年間平均が35℃なら、MSE形の7〜9年(メーカー公表値)は計算上3.5〜4.5年に縮みます。望ましい据付環境は周囲15〜25℃、収納部は夏季も35℃以下に保つ換気が目安です。

こんにちは、セントレイの佐藤です!このコラムでは、産業用蓄電池まわりの「現場で役に立つ話」をお届けしています。

据置鉛蓄電池の更新を検討するとき、容量と型式は既設どおりで決まりますが、見落とされやすいのが設置環境です。とくに温度は寿命に直接効きます。実は、同じ型式でも、置かれた盤の温度によって実寿命は大きく変わるんです!カタログの年数をそのまま計画に使うと、判断を誤ることがあります。その理由と、現場で打てる対策をご紹介します。

周囲温度が10℃上がると、寿命はどうなる?

据置鉛蓄電池には、周囲温度が10℃上がると寿命がおよそ半分になるという鉄則があります。10℃2倍則と呼ばれるもので、劣化の主因である正極格子の腐食速度がアレニウス則に従うためです。電池工業会の指針(SBA G 0606)にも明記された一般則です。

期待寿命の公表値はいずれも周囲温度25℃での値なので、実際の温度がそれより高ければ、実寿命は素直に短くなります。

盤内35℃だと、実寿命は何年になる?

盤内の年間平均が35℃なら、MSE形の期待寿命7〜9年は計算上3.5〜4.5年まで縮みます。具体的に計算してみます。標準的なMSE形の期待寿命は25℃で7〜9年(古河電池公式サイトの種類一覧などメーカー公表値)。仮に盤内の年間平均が35℃だと、25℃から10℃高いぶん、寿命は25℃比で約2分の1。25℃から35℃へ10℃上がっただけで、寿命がおよそ半分になるということです。さらに45℃まで上がれば、もう一段2分の1が効いて4分の1(約1.8〜2.3年)まで落ちます。

現場でよく見かけるのは、夏場に熱がこもる盤、換気の弱い電気室、直射日光や発熱機器のそばに据えられた電池です。40℃を超えると浮動充電中でも充電電流が増え、減液や熱逸走の側に傾きます。据付環境として望ましいのは周囲15〜25℃、収納部は夏季も35℃以下に保つ換気設計が目安とされています。

寒さや温度差の影響は、気にしなくてよいのか?

いいえ、温度で気をつけたいのは高温側だけではありません。低温環境では化学反応が緩やかになり劣化は遅くなりますが、そのぶん放電時に取り出せる容量が一時的に下がります。寒冷地に近い設置では、寿命よりも「いざというときに所定の容量が出るか」の側で余裕を見ておく必要があります。また、充電器側に温度補償機能があれば、周囲温度に応じて浮動充電電圧を自動で調整し、高温時の過充電・低温時の充電不足の両方を抑えられます。既設の充電装置がこの機能を持っているかも、環境を評価するときの手がかりになります。

更新計画に「温度」をどう織り込む?

同じ型式・同じ容量でも、置き場所の温度で持ちは変わります。期待寿命の年数はあくまで25℃での値なので、高温環境ならその分を割り引いて更新時期を見積もるのが実務です。大がかりな改修でなくても、換気の確保や発熱源からの離隔で環境はかなり変わります。

既設の型式と数量、それに設置環境がわかれば、更新の目安から手配の納期まで含めてお見積りします。「うちの盤、夏はかなり熱くなる」。私もよくいただくご相談です。そんな段階でも、遠慮なくお声がけください。電池の手配だけでなく、換気や置き場所の見直しといった、暑さを抑える工夫までまとめてご相談に乗ります。

それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!
──株式会社セントレイ 佐藤

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