こんにちは、セントレイの佐藤です!このコラムでは、産業用蓄電池まわりの「現場で役に立つ話」をお届けしています。
非常用電源やUPSの蓄電池は、平時は浮動充電で満充電を保ったまま出番を待つ設備です。実運転が無いぶん劣化が表面化しにくく、停電・災害で放電を要求された瞬間に容量不足が露見する設備です。だからこそ状態を数値で把握し続ける定期点検が、設備の維持そのものになります。基本の点検項目と、記録の活かし方を整理します。
点検で何を見るか
点検の基本は、外観・電圧・接続部の3点です。外観では、電槽やふたの膨れ・変形、液漏れ、端子部の発錆を見ます。とくに正極(+)側のふたの持ち上がりは、正極格子の腐食にともなう伸び(グロース)が進んだ寿命末期のサインで、見逃せません。電圧は、制御弁式なら浮動充電電圧が基準の2.23V/セル(取扱説明書記載値)近傍に収まっているかを確認します。総電圧はこの2.23V/セルに直列セル数を掛けた値が目安です。接続部は端子の緩み・腐食を点検します。ここが緩むと接触抵抗が増え、放電時に必要な電流を取り出せないことがあります。ベント式(液式)では、これらに加えて液面と電解液比重の確認、必要に応じた補水が入ります。
1回の値でなく、傾向で見る
点検値は単発の合否より傾向の管理が要です。前回・前々回の記録と並べ、セル電圧のばらつきの広がり方や値の動く向きを追います。とくに制御弁式は密閉構造で、外観や比重から中の状態が分かりません。そのため内部抵抗を毎回同じ箇所で測り、初期値からの上がり方をトレンドで見るのが劣化診断の主軸になります。セル単位の記録が数年分あるかどうかで、更新判断の精度は大きく変わります。
なお、電圧や外観の点検は「その時点で異常が出ていないか」を見るものですが、実際に停電したとき所定の時間もつか(実容量)は放電させてみないと確定しません。年数が進んだ設備では、日常点検に容量試験を組み合わせ、実際の放電能力まで確かめておくと安心です。あわせて、更新の谷間を埋める予備品を持つかどうかも、設備の重要度に応じて考えておきたいところです。
点検は手間に見えても、いざというときの「動かない」を防ぐ唯一の手立てです。記録を積み重ねるほど、更新の判断も後手に回りません。ふだんの点検の一手間が、非常時の確実な動作にそのまま直結します。
点検は法令上の維持義務でもある
非常電源として設置された蓄電池設備は、消防法にもとづく定期点検・報告の対象になる場合があります。点検の周期や実施資格、報告の要否は、設備の種類・規模や所轄の火災予防条例によって異なります。ここでお伝えしているのは一般的な点検の考え方であり、具体的な点検項目・周期・法令適用は設備ごとに確認が必要です。悩んだら弊社にご相談ください。
点検で気になる兆候が出たら、更新も含めて早めに検討してください。迷ったら、銘板の写真を送ってください。こちらで確認します。
それではまた、次回のコラムでお会いしましょう!
──株式会社セントレイ 佐藤

